連載『ホンダ偏愛主義』。自他共に認めるホンダマニア・元Motor Magazine誌編集部員でフリーランスライターの河原良雄氏が、ホンダを愛するようになった理由を、自身の経験を元に紐解きます。第4回は、「CR-Xデルソル」。(デジタル編集:A Little Honda編集部)

「CR-Xデルソル」

「志は良かったのに、残念」と言うホンダ車が昔から好きなのである。1992年2月にデビューしたCR-Xデルソルもそんな一台。初代バラードスポーツCR-X、2代目CR-Xと続いた2+2の硬派FFスポーツ路線から、軟派なFFオープン2シーターへと変身を図ったモデルだ。del Solとはスペイン語で「太陽の」の意。ユーノスロードスターが人気となっていた頃だけにホンダが提案したロードスターとも言える。デルソルでエポックメイキングだったのがトランストップなる電動メタルトップを用意していたこと。ベースとなったデタッテャブル式のオープントップに対して17万円も高かったそれは正に衝撃的だった。

画像1: 「CR-Xデルソル」

どんな風になっていたかと言うと、スイッチを押すとリアのトランクリッドが上昇、そこからフォークリフトのアームのようなものが2本出てきて、ルーフを突き刺して取り込み、トランクリッドが下降すると言うシステム。パワー式リアウインドウを下げればフルオープン感覚を満喫できた。無駄に長いリアのトランクリッドはルーフを収めるためにあったのだ。3年ほど先んじてトヨタが電動折り畳み式メタルトップを採用したソアラエアロキャビンを500台限定でリリースしていたが、あちらはワイヤーとプーリーのお化け。ホンダの開発陣が購入してバラしたら元に戻せなくなり、「トヨタさんに訊くわけにはいかず廃車にしました」とのこと。また、ホンダの役員を前にデルソルのプレゼンをした際、途中で止まってしまい再度プレゼンを余儀なくされたと言う笑い話もある。

画像2: 「CR-Xデルソル」

デルソルは1.5L版SOHC搭載のVXi(型式EG1)と1.6L版DOHCのSiR(型式EG2)を用意。件のトランストップはSiRのみだった。SiRはVTEC(可変バルブタイミングリフト機構)採用のB16A型エンジン(170&155ps)でホンダらしい高回転を堪能できた。デルソルはその楽しいコンセプトが認知されず人気を得ることはないまま97年に生産終了。国内販売は僅か1万8000台程度と言う。

画像3: 「CR-Xデルソル」

長年デルソルに憧れ続けた私は5年前に知り合いからブラックパールのSiRオープントップ(AT車)をゲット。即、ヘッドライトをはじめ当時手に入るパーツをすべてオーダーし、ミラノレッドにオールペンしてレストア。今もガレージに収める。嬉しかったのは15年ほど前、取材でイタルデザインに行った際、社員用駐車場に輸出仕様のデルソルが停まっていたこと。イタリア人はデルソルのオシャレを理解してくれていたのだ。

このデルソルを見てメルセデスベンツは「その手があったか」と感激。そして開発したのが96年に登場したSLKだったのである。ホンダは進んでいたんです(拍手)。

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