連載『ホンダ偏愛主義』。自他共に認めるホンダマニア・元Motor Magazine誌編集部員でフリーランスライターの河原良雄氏が、ホンダを愛するようになった理由を、自身の経験を元に紐解きます。第5回は、「アクティトラック」。軽トラって意外と面白い。(デジタル編集:A Little Honda編集部)

ホンダのアクティトラック

ホンダの軽トラック、アクティをご存じだろうか?

「軽トラなんてみんな同じじゃん」と言うあなたはわかってない。アクティは何とミッドシップなのだ。かつてスバルのサンバーがRR(リアにエンジン搭載、リア駆動)のため「農道のポルシェ」と呼ばれたのに対し、アクティは「農道のフェラーリ」と呼ばれていた。ちなみにフツーの軽トラはシート下にエンジンを置くFR(フロントにエンジン搭載、リア駆動)である。

画像1: ホンダのアクティトラック

何でミッドシップ?の答えは半世紀前、1967年登場のアクティの前身たるTN360にあった。ホンダは1963年にT360なる軽トラをリリースしていた。360cc直4DOHCを搭載し最高速100km/hを謳うFRのスポーツ軽トラだった。が、コスト高に悩む、ならば当時ヒットしていたN360の横置きFFユニットをそっくりリアに持ってくれば……となった。当然ながらエンジンは荷台の下に、つまりミッドシップである。これが好評を博し、以来、ホンダの軽トラはこの方式を貫くこととなったのだ。

画像: アクティの前身TN360

アクティの前身TN360

初代アクティは1977年に登場。その後、1988年に2代目、1999年には3代目に。そして2009年に現行の4代目となるのである。現行車は先代の反省を踏まえていた。先代は流行のノーズの突き出たセミキャブオーバーのデザインを採用。ホイールベースを長くして快適なドライビングを狙った。が、実用性が問われる軽トラとしてはNGを出されたのである。荷台が狭くなってしまったからだ。「積んでなんぼ」の軽トラにあっては致命傷である。そこでマイナーチェンジで荷台を前進させるも、今度はキャビンが狭くなったとの苦情が。そして現行4代目は原点回帰ですっきりとキャブオーバーとなったのだ。加えてホイールベースを一気に520mmも短縮。最小回転半径3.6mと言う超小回り性能を手にしたのである。

画像2: ホンダのアクティトラック

かくいう私は2代目(型式HA3)を3速ATで購入し14年間使い、8年前に4代目(HA8)の5速MTにスイッチ。3代目はセミキャブのデザインが気に入らなかったのでパスした。ボディカラーは共にブルーを選択。一般的なホワイトではJA(農協)の駐車場で埋もれてしまうためだ。アクティの良さはハンドリングに尽きる。とくに空荷の時だ。軽トラはオバサンからジイサンまでが扱うため、あえてハンドリングはダルに仕立てている。が、ホンダは違う。前後輪の動きをドライバーに感じさせながらコーナリングすることができるのだ。これを味わうとライバルより割高な価格でも「まっ、いいか」と納得させられる。ただし軽トラの宿命で、ローギアードのため高速走行は苦手だ。使い道を考えれば仕方なしだろう。

以前、佐渡をドライブした際、アクティ、それもブルーの多さに感激した記憶がある。JAまたはJF(漁協)にホンダが喰い込んでいるのか、はたまたホンダディーラーが強いのか……佐渡でのアクティ人気の秘密を知っている方はご一報いただければ幸いです。

コメントを読む・書く

This article is a sponsored article by
''.