連載『ホンダ偏愛主義』。自他共に認めるホンダマニア・元Motor Magazine誌編集部員でフリーランスライターの河原良雄氏が、ホンダを愛するようになった理由を、自身の経験を元に紐解きます。第13回は、「耕うん機のピアンタ」。(デジタル編集:A Little Honda編集部)

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ピアンタは耕うん機の中では車軸ロータリー式に属する。エンジン直下に土を攪拌する爪であるローターを備えているタイプだ。エンジンを中心にしてフロントローター式、リアローター式もある。この順は初心者向けからプロ向けへの流れと思っていい。だからピアンタは初心者向けの代表である。

セミプロの私から見ればオモチャみたいなもの。重量はわずか20kgに過ぎず、パワーウエイトレシオは13.3kg/ps。中古で手に入れた私のトラクター、ヰセキの超小型SIALは500kgで800cc直3ディーゼル13psだから38.5kg/ps。数値を見ればピアンタはウルトラライトウエイトスポーツである。

とは言え畑を耕すには荷重が要る。何もしなかったら20kgしかない耕うん機は土の上を元気に飛び跳ねるだけだからだ。で、どうしてるかと言うと、後方に抵抗棒なる棒を地面に突き刺し、それを引きずるようにすることで土を攪拌、つまり耕すのである。この時にモノを言うのが回転である。

回転に関しては得意とするのがホンダ。たとえナリは小さくても、右側のレバーひとつの操作でスロットルさえ開けていればOK。ターンの時、スロットルを一気に戻せばタックインも使える。トラクターのように一気には耕せないが、2回3回とやればしっかりと土起こしが可能となるのだ。

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ピアンタのローター幅は350mmと1m越えが当たり前のトラクターからすれば、こちらもオモチャ同様だ。それでも、一反(300坪)単位で作業する農業に対し、一畝(30坪)程度の家庭菜園でのことを考えれば十分だろう。カタログスペックではボンベ1本で1時間、32坪の作業が可能とある。また、アタッチメントを替えれば、苗の植え付け時に役立つ畝立て、野菜の畝間を耕す中耕や倍土、さらには髭剃りのように表面を削る草刈りと言った作業も可能だ。実際やってみたら「ピアンタ、やるじゃん!」と納得した次第である。

ピアンタは折り畳みが可能で、ローターをカバーするキャリーボックスも備わるから車載が容易。というかホンダらしくクルマとのドッキングを考えている。先述したように20kgと軽量なため女性でも積み下ろしは可能だ。燃料に関してはカセットコンロ用ボンベをポンとセットするだけのイージーさもいい。これで10万円ちょっと。トラクターはアタッチメントなしの本体で相場が1ps=10万円程度だからピアンタは割安かも。

ピアンタをはじめホンダ耕うん機の開発は聖地“ツインリンクもてぎ”で行われている。テストコースは敷地内の専用の畑。ここでツナギに長靴姿で日々開発が行われているのである。

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