ホンダは、2030年に四輪車のグローバル販売の3分の2を電動化することを目指すと名言している。そんなホンダの電動化戦略のトップランナーが「クラリティ」シリーズだ。ここではそんなホンダ電動化のイメージリーターの試乗とともに、その開発を指揮した責任者からも話を聞いた。
画像: 空力を考えたエクステリア。ルーフがリア部分に行くほど下がっている美しいデザインだが、リアシートの居住性は犠牲になっていない。

空力を考えたエクステリア。ルーフがリア部分に行くほど下がっている美しいデザインだが、リアシートの居住性は犠牲になっていない。

今年の夏も過酷な暑さが続いている。まるで日本が赤道直下、熱帯になってしまったようである。しかし実はこれ、日本だけのことではないらしい。イギリスでもフランスでもドイツでもアメリカでも…、そう地球規模の異常気象なのだ。そこで問題になっているのが地球温暖化である。

この地球温暖化の原因は温室効果ガスのメタンや二酸化炭素(CO2)だが、なかでも人為的に排出されるCO2排出量の削減は待ったなし!の状態だと言っていい。

クルマは、ガソリンや軽油を燃やしてエンジンを動かしている。そしてクルマがエンジンを動かしいているときに排出されるのがCO2なのだ。
そこで自動車メーカーは、少しでもCO2排出量の少ないクルマを開発に力を注いでいる。その代表的なのが燃料電池自動車(FCV)、電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)の電動化車で、これらは環境車と呼ばれている。

これらのクルマに共通しているのが電気モーターを積んでいることだ。つまりガソリンや軽油を燃やしてエンジンを動かしているのではなく、充電された電気の力でモーターを回してクルマを動かしいているというわけだ。
ではなぜ環境車なのかというと、モーターで走っているときはCO2排出量がカウントされないからだ。ゼロエミッションという言葉を聞いたことがある人も多いだろう。基本的にはCO2を排出しないという意味だが、PHEVもモーターで走行している時はゼロエミッションカーなのである。

実はクラリティ三兄弟である

そんな電動化車の開発にホンダも本気になった。そのイメージリーダーが、2018年7月に発売されたクラリティPHEVである。PHEV=プラグイン ハイブリッド エレクトリック ビークル。これはエンジンと電気モーターによって走ることができるハイブリッド車のことだ。では、たとえば、フィットハイブリッドといったホンダの他のハイブリツド車とどこが違うのか。それは外部から充電ができることである。つまりエンジンを動かして発電するだけではなく、充電設備を使った充電ができるということだ。

ショッピングセンターや公共施設の駐車場、高速道路のサービスエリアで「EV QUICK」とか「CHARGING POINT」と書かれた場所を見たことはないだろうか。そう、そこがEVやPHEVを外部充電できる施設なのである。クラリティはそこで充電すれば、ガソリンを使わなくても走ることができるのだ。さらに言えば、EVのように急速充電も普通充電にも対応しているPHEVなのである。ちなみに国産車でこうしたPHEVはクラリティを含め3車種のみしかない。トヨタプリウスPHVと三菱アウトランダーPHEVである。

画像: 駐車場や高速道路のサービスエリアなどでこんな表示を見たことがある人も多いだろう。急速充電、普通充電設備は急速に普及している。

駐車場や高速道路のサービスエリアなどでこんな表示を見たことがある人も多いだろう。急速充電、普通充電設備は急速に普及している。

そんなクラリティは、2016年にひと足先に燃料電池車であるクラリテイFUEL CELL(FCV)がデビューしている。そして実は日本では発売していないが北米ではクラリティエレクトリック(EV)を販売しているのである。つまりクラリティにはFCVとPHEVとEVといった3タイプの電動化車が揃っているというわけだ。クラリティ三兄弟である。

開発責任者の清水氏によれば「最初から、FCV、PHEV、EVというまったく異なる3つのパワートレーンを載せるように開発しています」という。ちなみにエクステリアやインテリアは共通化しているが、パワートレーンはそれぞれ違うものを載せるこの方法をホンダは「3in1コンセプト」と呼んでいるという。

あえて茨の道を選んだ開発陣

そんな清水氏にほかにも聞いたことがある。最初から電動化を考えたクルマを開発するならSUVのようなボディの大きなモデルから開発したほうが楽だったのではないか、ということだ。それはつまり異なる様々なパワートレーンを積むなら入れ物を大きくした方がより簡単に短期間で開発できるということだ。

画像: セダンは人をリアシートに乗せることも多い。フロントシートバックにはこうしたスマホなどを入れることができる工夫がされている。実際に使ってみてもとても便利だった。

セダンは人をリアシートに乗せることも多い。フロントシートバックにはこうしたスマホなどを入れることができる工夫がされている。実際に使ってみてもとても便利だった。

それに対しては「そのとおりです。SUVのようなモデルの方が開発は楽です。でも最初から楽をするとあとで苦労するんです(笑)。最初からセダンで成立させないとその先はないと思っていました。だから茨の道だとはわかっていても先に苦労して、クラリティのようなDセグメントクラスのセダンからあえて開発したんです。これが完璧にできれは次にボディの大きなモデルに積むのは簡単ですから」と言う。腑に落ちた。それになんともホンダの開発者らしい考え方だ。

EV走行距離は世界トップなのかトップレベルなのか

ところでこのクラリティの売りにEV走行距離がある。EV走行距離とはゼロエミッション、つまりCO2を排出しないモーターのみで走ることのできる距離のことで、クラリティの場合、満充電で114.6km(JC08モード値。WLTCモード値では101.0km)のEV走行距離を誇っている。これはまさに日本ではトップだ。しかしホンダは謙虚にもトップレベルと言っている。

画像: 搭載エンジンは1.5L。バッテリーはフロアの下に配置されているので室内空間やトランクルームが犠牲にならないのがクラリティの特徴である。

搭載エンジンは1.5L。バッテリーはフロアの下に配置されているので室内空間やトランクルームが犠牲にならないのがクラリティの特徴である。

画像: トランクルーム容量は512Lを確保する。さらにリアシートバックが可倒式となりトランクスルー機構が用意されるので使い勝手はとてもいい。

トランクルーム容量は512Lを確保する。さらにリアシートバックが可倒式となりトランクスルー機構が用意されるので使い勝手はとてもいい。

それはどうしてなのか、清水氏に訊いたところ、「BMW i3のレンジエクステンダー装備車があるので…」という。ちなみにBMW i3 レンジエクステンダー装備車のEV走行距離は288.9kmである。この数値だけみると確かに負けている。しかし、BMW i3はPHEVではなく、EVなのでそこはトップレベルなんてことは言わずに、PHEVトップのEV走行距離と堂々と謳っていいのではないだろうか。奥ゆかしいというか真面目すぎるというか、これもなんともホンダらしい話である。

画像: クラリティPHEVのLPL、清水潔さん。ホンダでは開発責任者をLPL(ラージプロジェクトリーダー)と呼んでいる。

クラリティPHEVのLPL、清水潔さん。ホンダでは開発責任者をLPL(ラージプロジェクトリーダー)と呼んでいる。

さてそんなクラリティPHEVに試乗した。その印象はまさにEVそのものである。街中ではほとんどエンジンがかかならない。意地悪にアクセルペダルを踏み込めば、確かにエンジンがかかるのだが、それにも「ペダルクリック機構」というアクセルペダルを一定以上踏み込んだ位置にクリック(反力)が生じるポイントを設定し、そこまでであればエンジン始動を抑え極力EV走行ができるような工夫がなされているのである。

画像: 少しスポーティな走りを楽しむなら「Sport」モードがおススメ。普段はEV走行のクリーンな走りがいいだろう。

少しスポーティな走りを楽しむなら「Sport」モードがおススメ。普段はEV走行のクリーンな走りがいいだろう。

クラリティPHEVは、EVに興味はあるけど実際にどんなものなのかわからないし…、電欠が心配だなぁ…、自宅に充電器がないからEVはちょっと…、と躊躇している人にとっては最適なクルマかもしれない。走りはEV、EV走行距離もほぼEV、それでいて充電がなくなってもエンジンで走ることができる。さらには全国のホンダカーズを発見すれば、お茶を飲みながら充電だって可能になるようなのである。クラリティは、乗りながら地球温暖化対策やCO2排出量削減への貢献だってできちゃう、そんなクルマなのである。

●取材車情報
クラリティPHEV
ボディカラー:プラチナホワイトパール、インテリアカラー:ホワイトアイボリー、装備オプション:ドライブレコーダー、フロアカーペット
取材車価格:5,923,800円

●クラリティPHEV 主要諸元
全長×全幅×全高=4915×1875×1480mm、ホイールベース=2750mm、車両重量=1850kg、エンジン=直4DOHC、総排気量=1496cc、最高出力=77kW(105ps)/5500rpm、最大トルク=134Nm(13.7kgm)/5000rpm、トランスミッション=CVT、駆動方式=FF、燃料・タンク容量=レギュラー・26L、ハイブリッドJC08モード燃費=228.0m/L、タイヤサイズ=235/45R18、車両価格=5,880,600円、※モーター=最高出力184ps/5000-6000pm、最大トルク315/0-2000rpm/EV走行換算距離114.6km

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