連載『ホンダ偏愛主義』。自他共に認めるホンダマニア・元Motor Magazine誌編集部員でフリーランスライターの河原良雄氏が、ホンダを愛するようになった理由を、自身の経験を元に紐解きます。第31回は、「N-VANに見るホンダらしさです」です。(デジタル編集:A Little Honda編集部)

「ホンダ偏愛主義」前回の記事を読むならこちらから!

軽商用バンの市場では劣勢だったホンダがN-VANで快挙を遂げる!

軽商用バンのN-VANが人気だ。そこにはホンダならではのアイデアが詰まっている。中でも助手席側をセンターピラーレスとしたことと、助手席&後席をダイブダウンさせてフラットなフロアを実現したことが話題となっている。前者は直角に開く助手席ドアとスライド式ドアによって、幅1580mm、高さ1230mmの大開口部を実現。後者は助手席に内蔵されたボードを引き出すことで見事なフラット感と、リアゲートから前方まで2635mmという奥行きを確保。スペース的に見てもプロユースに十分に対応している。

画像1: 軽商用バンの市場では劣勢だったホンダがN-VANで快挙を遂げる!

インテリアを子細に見ればホンダらしさが随所に。オートバイを積載する際にも重宝するタイダウンフックを8カ所に用意。さらにリアクオーターウインドウ周辺には28カ所もの6mmボルト用のユーティリティナットをセットし、後付けで棚をはじめ様々なアレンジができるようにしているのだ。

感心したのは運転席左下の小さな衝立の小物侵入防止版だ。荷室から物がこぼれて運転に支障がないようにとの配慮である。また、オプションカタログに目を通すと、プロ用から趣味用まで“あったらいいな”がいっぱい揃っている。これを見るとN-VANへのホンダの本気度が十分伺える。

画像2: 軽商用バンの市場では劣勢だったホンダがN-VANで快挙を遂げる!

これまで軽商用バンの市場ではホンダは劣勢だった。ライバルたちは運転席下にエンジンを置きリアを駆動するキャブオーバーを採用。広い荷室を確保し、装備を簡素化することでリーズナブルな価格を設定。これによってプロの支持を得ている。対するホンダは1999年以来、ミッドシップのアクティバンで対応していたが苦戦を強いられて来た。

19年ぶりのチェンジに際し、ホンダは好評のN-BOXのプラットフォームを用いてFFに大転換。ノーズ分だけ荷室が狭くなるものの、それをアイデアでカバーしているのだ。「FFで荷物を積載して大丈夫?」との声もあるかもしれないが、基本的に荷物はホイールベース内に収まるから心配は無用。かつてのライフステップバンもFFだったのだから。

N-VANとN-BOXのちがいって?

N-VANはN-BOXベースの商用車であることは間違いないが、内外装のデザインは結構異なっている。一番の違いがAピラーまわりの処理で、さらにボンネットの切り方、リアクオーターやリアのウインドウ、ボディサイドのプレス(N-VANは強度保持のため波板状に)も異なる。コクピットの印象は先代N-BOXに近い。個人的に嬉しいのは足踏みパーキングだ。解除後はフットレストとして使えるのがいい。

軽商用バンでここまで良好なドラポジを採れる軽商用バンは他にない。運転席だけに限れば快適だから一人なら長距離でも行ける。助手席はまあまあ、後席はエマージェンシー用と、そこは商用車と割り切るべし。

画像: N-VANとN-BOXのちがいって?

地味に終わってしまったが先代N-BOXには“+(プラス)”があった。その巧みな室内アレンジは今のN-VANに息づいている。N-BOX+は乗用でありながら商用的な使い方もできると言う点で個人的に好きだった。今のN-BOXをもってすれば“+”がなくても事足りるのだろう。が、ホンダ党としては、そこをブレークスルーした新たな“N”を期待してしまうのだ。今回のN-VANの出来がいいだけに……。

連載「ホンダ偏愛主義」を1から読むならこちらから。

コメントを読む・書く

This article is a sponsored article by
''.