連載『ホンダ偏愛主義』。自他共に認めるホンダマニア・元Motor Magazine誌編集部員でフリーランスライターの河原良雄氏が、ホンダを愛するようになった理由を、自身の経験を元に紐解きます。今回は、個人的なホンダ車レストアよもやま話第二弾「CR-Xデルソル」編です。(文・河原良雄/デジタル編集:A Little Honda編集部)

CR-Xデルソルが、レストア魂に火をつけた

デルソルに関しては縁がある。1992年2月のデビュー前、伊豆で行われた事前の撮影会に参加。その2シータオープンの斬新さにひと目惚れ。1960年代のフェラーリ250LMの再来かと思った(ちょっと大げさか)。一見ミッドシップ、実はFFというギミックも気に入った。

以来、デルソルへの愛は途絶えることはなかったが、CR-X Siをはじめ複数台所有する身にとってはなかなか手に入れることはできなかった(奥方の許可が下りずが正直なところ)。

そうこうしているうちに時が過ぎた7年前、月までの往復を目指すバラスポCR-Xオーナーの伊藤嘉啓カメラマンから「ATでデタッチャブルトップですけど出物のSiRがありますよ」との連絡。写真を送ってもらった時点で「買います!」と即決。そして3カ月後には手元に来たのだ。

走行は10万kmを超えていたが前オーナーはホンダ車を知り尽くした人。雨漏りも完璧に直してくれていたし、足まわりはブレーキからハブ&ホイールに至るまでDC2型インテグラタイプRを移植済み。機関のコンディションはベストだった。

黒のボディカラーはちょっと私好みではなかったので、そこでレストア魂が動き出した。さっそく、行きつけのディーラーに入手可能な純正デルソルパーツをありったけオーダー。ヘッドランプからウエザーストリップ、残りわずかのデカールまで、である。総額25万円。

次はオールペンの手配である。付き合いのあるWY店の板金担当副社長に依頼するも、「忙しいから半年ぐらい待って」とつれない返事。それまではパーツを保管しておかなければならない。ドア周りのウェザーストリップは広げると意外とデカい。形状が変化してしまうから畳んで置くわけには行かず。そこで押入れを整理し純正パーツを保管することに。

ようやくオールペンに持ち込むと、件の副社長は「何色に?」と。「ミラノレッド!」と言う私に渋い顔。聞けば黒を赤にするには、いったん明るい別の色に吹いてからではないとダメとのこと。「そこを何とか!」と押し切る。その後、副社長から「できたよ!」と電話。見に行けばピンク状態。「えっ!」と驚く私に「こうしないと赤にできないんだよ」と。で、仕上がってびっくり。エンジンルーム内側を除いて完璧にミラノレッドに仕上げてくれたのである。ウェザーストリップをはじめ純正部品の取り付けも含めて、である。

デルソルのレストアでは、クルマ購入に40万円、部品購入に25万円、取り付け&オールペンに40万円ほど費やした。とは言え総額は100万円ほど。軽自動車の新車だって買えない金額。これでデルソルライフが楽しめると思えばリーズナブルだと思う。我がデルソルを密かに狙っているのが息子。デルソルがデビューした小学生の頃、家にあったモーターマガジンの表紙を見てひと目惚れしたそう。もうDNA繋がりと言うしかないかも……。

さて、次回のホンダ偏愛主義Vol.41ではビートのレストアのお話をお伝えしたいと思います。

「ホンダ偏愛主義」前回の記事を読むならこちらから!

ホンダマニアが語るレストアの楽しさ

連載「ホンダ偏愛主義」を1から読むならこちらから。

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