連載『ホンダ偏愛主義』。自他共に認めるホンダマニア・元Motor Magazine誌編集部員でフリーランスライターの河原良雄氏が、ホンダを愛するようになった理由を、自身の経験を元に紐解きます。今回は、数あるホンダ車の中でもあまり知られていない車種のご紹介。初代クイントについてです。(デジタル編集:A Little Honda編集部)

“いいとこ取り”のクルマ、クイント

初代クイントは1980年2月にシビックとアコードの間を埋めるべく登場した。ベースはシビック、エンジンはアコードと“いいとこ取り”のクルマだった。

画像1: “いいとこ取り”のクルマ、クイント

ボディは5ドアHB(ハッチバック)。HBと言えば3ドアが主流だった時代だけに新鮮だった。加えて6ライトのサイドウインドウと寝かされたリアゲートがスタイリッシュだった。フロント&リア共にライトは角を配して端正な出で立ち。室内はホンダ初の分割式リアシートを採用して、ラゲッジスペースを自在にアレンジできた。全長×全幅×全高=4110×1615×1355mmと今で見ればBセグメント相当。ホンダとしては“ヒット間違いなし”と思ったに違いない。

ところがどっこい、スタート直後から苦戦する…。問題は販売店にあった。できたばかりのベルノ店の専売だったのだが、肝心の店舗展開が遅れたのだ。テコ入れのため4月にパワーステアリング付き上級グレードのTER、続いて6月に得意のサンルーフ仕様を追加。そのTERが瞬間的に人気となったものの長続きはしなかった。

当時の私はと言えば中古で手に入れたイタリア車のセダン(アルファロメオ アルフェッタ1.8)に乗っていた。168万円で買って2年乗っていたら“欲しい”と言う人が現れ、128万円で売れた。手元にこれだけあれば次期FXは余裕である。で、目を付けたのがクイントだった。

画像2: “いいとこ取り”のクルマ、クイント

それも人気薄でお買い得な中古車。知り合いの中古車店に中間グレードのTSが1年半落ちで65万円で展示されていた。新車時110万円だったから“買い”である。値引きをしてもらい60万円で購入。これを1年半乗っていたら、またも“欲しい”と言う奇特な人が現れる。

何と40万円と言う好条件を提示して来たのである。迷わず手放し、手元に残ったのが108万円。さあ、次は……と思っていたら、運良く知り合いが1年乗ったシティRを“50万円でどう?”と言って来た。デビュー当時から気になっていたモデルだっただけに即決。シティを手に入れドレスアップを楽しむことに。排気量は1.8Lから1.6L、そして1.2Lとスケールダウンするが、3台乗り継いでもなお手元に58万円が残ったのである。

話をクイントに戻す。そのクリーンなスタイリングはオーソドックスでグッド。乗っていたTSはノンパワステだったが、それゆえダイレクト感を十分に楽しめた。何しろ当時のホンダのパワーステアリングと来たら軽すぎてインフォメーションが極端に少なかったから、だ。

画像3: “いいとこ取り”のクルマ、クイント

CVCCの1.6Lは90psに過ぎなかったが車重は900kgを切っていて、3速ATでなく5速MTだったから走りに不満はなかった。強いて言えばレッドゾーンが6000rpmで、“高回転のホンダ”を崇拝していた私にとっては物足りなかったのを憶えている。当時としては先進の5ドアHBとしてのユーティリティはサイズを考えれば十二分だっただけに本当に“惜しい”存在だった。クイントなる名称は次のクイント インテグラに継承される。それが、FMCでインテグラとなって“クイント(五重奏)”は消滅する。

画像4: “いいとこ取り”のクルマ、クイント

1988年に登場したシビックベースで上級を狙った“コンチェルト(協奏曲)”の5ドアに初代クイントの復活を見たのはホンダ党の私だけだろうか……。

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