日本とはまた違った欧州的な視点で、注目モデルを比較検証する特別企画。
今回はジャガーブランドの魅力をアグレッシブなスタイルに詰め込んだEペイスとホンダらしい豊かな遊び心を感じさせるCR-V、ふたつの個性派SUVにスポットを当てた。(文:木村好宏/写真:Kimura Office)

ジャガーの新星 Eペイスと「ベテラン」のCR-V

画像: Jaguar E-PACE P200 AWDとHonda CR-V 1.5T Executive AWD。どちらも欧州仕様、左ハンドルだ。

Jaguar E-PACE P200 AWDとHonda CR-V 1.5T Executive AWD。どちらも欧州仕様、左ハンドルだ。

日本はもちろん世界でもホンダCR-Vは、ベストセラーコンパクトSUVとして人気を博している。昨年は北米でベストSUVオブザイヤーを獲得するほど、存在感のあるクルマだ。一方、ジャガーEペイスは、イアン・カラムのデザインによるスタイリッシュなコンパクトプレミアムSUVとして、無冠ながら独自のポジションを築いている。

Eペイスは2017年に、ジャガーランドローバーグループから登場したコンパクトプレミアムSUVで、レンジローバーイヴォークやディスカバリーとプラットフォームを共有している。サイズは4395×1984×1649mmで、ホイールベースは2681mm。ワイド感のあるシルエットが特徴だ。

画像: 試乗したEペイスのP200は、欧州で発売が始まったばかりのガソリン仕様ベーシックエンジンだ。

試乗したEペイスのP200は、欧州で発売が始まったばかりのガソリン仕様ベーシックエンジンだ。

テストカーのグレードは、日本にはまだ導入されていない「P200」。2L直4ターボエンジンの最高出力は200ps、最大トルク340Nmを発生するエントリーモデルである。車両重量は1757kg、9速ATとの組み合わせで0→100km/h加速は8.2秒、最高速は216km/hに達する。

画像: 2018年のジュネーブシショーで初披露された時は1.5L直4ターボのみを発表。のちにハイブリッドを追加した。

2018年のジュネーブシショーで初披露された時は1.5L直4ターボのみを発表。のちにハイブリッドを追加した。

一方、CR-Vは1996年に登場し、現行モデルで5代目となる。よってEペイスにとっては大先輩になるわけだ。サイズは全長4600×全幅1854×全高1689mm、ホイールベースは2663mm。車両重量は1598kg。搭載するエンジンは1.5L直4ターボで、最高出力193ps、最大トルクは243Nmを発生する。トランスミッションはCVTで、0→100km/h加速は10秒、最高速は200km/hなので、スペック上でのダイナミック性能は両車に大きな差はないと言える。

いい意味で意外性のあるEペイス

画像: 自然吸気の2.4Lエンジンに匹敵するドライバビリティが自慢の、CR-V搭載1.5Lターボエンジン。

自然吸気の2.4Lエンジンに匹敵するドライバビリティが自慢の、CR-V搭載1.5Lターボエンジン。

ともに最高出力はほぼ同じだが、排気量が大きいEペイスはトルクバンドが広く、全体的に扱いやすい。また9速ATはエンジン特性にマッチしており、スムーズこの上ない。

一方、CR-Vの1.5L直4ターボエンジンは非常に滑らかでトルクも豊かだが、3000rpm以上になると途端にエンジン音が大きくなる。ちなみに3000rpmで高速道路を巡航すると130km/hに達する。まるで北米のハイウェイ最高巡航速度に合わせているようだ。

画像: Eペイスはエクステリア同様に、Fタイプのスポーティなデザインをモチーフとして随所に採り入れた。

Eペイスはエクステリア同様に、Fタイプのスポーティなデザインをモチーフとして随所に採り入れた。

ジャガーのインストルメントパネルデザインは一見、古典的。センターコンソール上のモニター操作はロジックがわかりにくく、テスト終了時まで格闘していた。しかし、素晴らしい仕上げと趣味性の高いデザインからは、伝統あるプレミアムブランドらしさが伝わってくる。

CR-Vはツールとして魅力

画像: CR-Vに採用されるセンター部のインフォテインメントシステムは、Android AutoやApple CarPlayにも対応する。

CR-Vに採用されるセンター部のインフォテインメントシステムは、Android AutoやApple CarPlayにも対応する。

キャビンの快適性は全長が20cmも長く、3列シートを備えたCR-Vに分がある。ただし3列目への乗降性は必ずしも良いとは言えない。体が柔軟な子供ならまだしも大人はかなり苦労する。

一方、Eペイスを横から見るとクーペ風にルーフ後方が落ち込んでいるので、窮屈そうな感じだが、狭い開口部のリアドアを開けて乗り込むと、ヘッドルームを含めてキャビンは思ったよりも広い。見た目以上に快適な室内空間だ。

画像: CR-Vのラゲッジルーム容量は7人乗車時の150Lから最大1756Lまで拡大する。5名乗車時は561L。

CR-Vのラゲッジルーム容量は7人乗車時の150Lから最大1756Lまで拡大する。5名乗車時は561L。

比較した印象をまとめるなら、ジャガーは「プレミアム」を求めるユーザーに対して、明確にそれを訴える品質と内容を持っていた。一方、CR-Vは使いやすい道具としての評価はとても高く、それをパフォーマンスとして上手くアピールすることに成功している。

対照的な価値を追求したこの2台だが、満足度そのものは、それぞれ高いレベルにある。

ジャガー Eペイス P200(AWD) 主要諸元(欧州仕様・EU準拠)
●エンジン:種類 直列4気筒DOHCターボ、総排気量 1998cc、ボア×ストローク 83.0×92.3mm、圧縮比 10.5、最高出力 147kW(200ps)/5500rpm、最大トルク 340Nm(34.7kgm)/1250rpm、燃料・タンク容量 プレミアム・69L、EU複合燃費 12.1km/L、●ディメンジョン&ウェイト:全長×全幅×全高 4395×1984×1649mm、ホイールベース 2681mm、トレッド前/後 1625/1624mm、車両重量 1757kg、トランクルーム容量 577/1234、●シャシ:駆動方式 4WD、トランスミッション 9速AT、ステアリング形式 ラック&ピニオン、サスペンション形式前/後 ストラット/マルチリンク、ブレーキ前/後 Vディスク/Vディスク、タイヤサイズ 235/65R17

ホンダ CR-V 1.5T エグゼクティブ(AWD) 主要諸元(欧州仕様・EU準拠)
●エンジン:種類 直列4気筒DOHCターボ、総排気量 1497cc、ボア×ストローク 73.0×89.4mm、圧縮比 10.3、最高出力 142kW(193ps)/5600rpm、最大トルク 243Nm(22.4kgm)/2000-5000rpm、燃料・タンク容量 プレミアム・57L、EU複合燃費 14.1km/L、●ディメンジョン&ウェイト:全長×全幅×全高 4600×1854×1689mm、ホイールベース 2663mm、トレッド前/後 1598/1613mm、車両重量 1598kg、トランクルーム容量 150/1756、●シャシ:駆動方式 4WD、トランスミッション CVT、ステアリング形式 ラック&ピニオン、サスペンション形式前/後 ストラット/マルチリンク、ブレーキ前/後 Vディスク/ディスク、タイヤサイズ 235/60R18

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