連載『みんなの知らないホンダ』車業界において数多くの偉業を成すホンダ。ホンダから始まった車の技術や歴史などを自他共に認めるホンダマニアである河原良雄氏がご紹介。意外と知られていないホンダのすごいことをじゃんじゃんお届けしていきます!今回は、いままでにない形で掲載されたビートのカタログ秘話です。(デジタル編集:A Little Honda編集部)

河原良雄
自他共に認めるホンダマニア・元Motor Magazine誌編集部員のフリーランスライター。
連載:ホンダ偏愛主義

いままでにないビートのカタログがすごかった!

手元に1991年に登場したビートのカタログがある。イメージカラーでもあったイエローを表紙に持ってきたA4変形サイズ16ページ構成。10年ほど前、このカタログ制作に携わった方々にお話を伺ったことがある。そこには知られざる世界が広がっていた。

画像: 裏表紙

裏表紙

画像: カタログの表紙

カタログの表紙

表紙には「ミッドシップアミューズメント」、2ページには「パーソナルコミューター『ビート』誕生」とある。

そして3ページで初めて外観を見せるのだが、ページ内にデザインされた丸状の枠の中に一般的な前7対3でなく真横を提示。4ページ目は男女モデルの2ショット、そして5ページ目でまた丸の中に7対3の外観が登場する。(カタログ写真下のクルマのアップ写真はイメージです)

画像: フロントから

フロントから

6ページ目は外観のディテールをピックアップし、7ページ目では丸の中に後ろ7対3の外観を見せる。

画像: カタログ6-7ページ

カタログ6-7ページ

画像: バックから

バックから

8ページ目は幌の開閉をわずか3カットで提示し、9ページ目ではまずは見ることはないであろう真上からのショットを丸の中に提示。ここまで半分を費やしているにもかかわらず、ほとんどコメントはなし。そう、メカっぽい解説がまったくないばかりか、スポーツの「ス」の字も見当たらないのだ。

画像: カタログ8-9ページ

カタログ8-9ページ

画像: 真上から

真上から

ここまでのページ展開での疑問はページの“丸”である。訊けば「インパクトを狙って丸いカタログを作りたかったんです。でも裁断や綴じを考慮すると丸いカタログは無理と分かり断念。その想いを表現したのがページ内にデザインした丸の枠だったんです」と。その丸の頂点にはそれぞれ「b」・「e」・「a」・「t」と小文字が配されている。

これに関しては「小文字の方がデザイン的にマッチしていたと言う理由の他に、開発スタート時はBEATではなくbeatだったと言うことがありました。関連のグッズはそれで進めていて、最後BEATとなって大騒ぎになったんです(笑)」。

さらに「!」などのデザインは、当時マッキントッシュのパソコン導入が始まり、デザイナーがマウスを使って遊んだ結果だと言う。ビートだから許された遊び心だったのかもしれない。

画像: カタログ10-11ページ

カタログ10-11ページ

さて、ページを続けよう。10ページではオーソドックスにインパネを見せている。それもきちっと角版とすることで現実感を提示。

画像: インパネ

インパネ

11ページでは丸の中でゼブラ柄シートをメインにインテリアを紹介。

画像: ゼブラ柄シート

ゼブラ柄シート

12ページはセイフティ&エキップメントを文字を多用して解説。13ページはメカニズムと謳いMTRECエンジンをはじめとした機能を解説。この見開きこそが世界初のミッドシップ・フルオープン、それを軽自動車で実現したことを語っていた。

画像: カタログ12-13ページ

カタログ12-13ページ

画像: BEATのメカニズムをイラストで

BEATのメカニズムをイラストで

そして14ページでカラーバリエーションをみせ、15ページで諸元表を提示して締めくくる。

画像: カタログ14-15ページ

カタログ14-15ページ

本当は凄いクルマなのに能書きが少ないことに関しては、「クルマを見てもらえれば多くを語らずとも分かってもらえると思いました。オープンカーだったのでカットモデルを用意しなくてよかったのは助かりましたね。カタログの後半で一般的な情報が得られればいいと思って作りました。ただ写真はまだアナログだったので制作には1カ月ほど掛かりましたよ」と。

ここまで見てきてお気付きだろうか、ビートのカタログには走っているシーンがひとつもないことに。軽自動車にして初のミッドシップ、それもオープン2シーターであるにもかかわらず、だ。

それに関しては「たとえ止まっていても走りを予感させるのがビートだと信じていましたから」とのこと。

画像: いままでにないビートのカタログがすごかった!

話を聞くほどに制作スタッフがビートに惹かれていたことが十分に窺えた。ビートのカタログの楽しさはここにあったのだと納得した次第である。

次のお話はこちら!

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